Home > 事業案内 > JAMシンポジウム > 第7回シンポジウム報告書
メンタルケア協議会主催のシンポジウム「新障害者プランとACT~ACTは日本でも切り札になるのだろうか~」には定員を遙かに超える650名の方が全国津々浦々から参加された。長時間の論議には熱がこもっていた。予想を超えた事態に、主催者も、参加した者も、皆とにかく驚いた。
何に驚いたのだろう。色々あるが、そのひとつは、地域での精神科の医療保健福祉へ強い思いを持っている人がこんなにいるということ、シンポジウムのタイトルにある「切り札」を希求している人がこんなにいるということではないか。
2002 年末に厚生労働省でもって新障害者プランが策定され、平成15年度以降の10年間に達成するべき数値目標が打ち出された。多くの人の思いを結実したプランではあるが、何かが足りないと多くの人が思っている。しかし足りないものが何なのか明確に言えないでいる。そんな中でアメリカや英国で行われているACT の実践はとても刺激的だ。
今回のシンポジウムで参加された方は、どのような結論を持ち帰られたのだろう。内容がとにかく盛り沢山で、簡単にはまとめられない。この報告書は、当日に参加された方には、当日の雰囲気をフラッシュバックするだろう。当日に参加されなかった方には、強い刺激の片鱗を伝えるに違いない。
色々なことが論議されたが、敢えて重点項目を挙げると3つであっただろう。一つは訪問型サポートの必要性である。日本の精神科の医療保健福祉のシステムは通所型のサービスが主体で、訪問型のサポートがあまりに不足している。二つはサービスの包括化の必要性である。日本では医療と福祉とが対立しがちで連携が乏しい。ACTのような多職種チームによってサービスの包括化が実現するというのは素晴らしいことだ。三つ目はユーザーとの関係を整える必要性である。契約に基づいてサービスを提供する・されることが徹底されることでユーザーの自主性が育ちサービスの効果が大きく違ってくるのではないか。
これらの3点以外にも重要なことは沢山あった。しかし、今回のシンポジウムの最大の成果は、地域医療に熱い思いを持っている人がこれだけいるということが分かったことではないか。そこに未来への確かな希望を見出せたように思う。このシンポジウムが起点となって全国各地で何かが始まることを期待したい。
平成15年11月
特定非営利活動法人メンタルケア協議会理事長 穂積 登
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