事業案内

平成19年度報告書

厚生労働省障害者保健福祉推進事業【障害者自立支援調査研究プロジェクト】

地域で生活する精神障害者の緊急ニーズの実態調査及び
夜間休日緊急対応チームの試行的構築

地域で生活する精神障害者の緊急ニーズの実態調査及び夜間休日緊急対応チームの試行的構築

目 次

  • 要 約
  • I はじめに
  • II 研究の目的
  • III 研究の方法
    • 1 アンケート調査票
    • 2 アンケート調査票の配布方法
  • IV 結 果
    • 1 本人と家族のプロフィール
    • 2 最近1ヶ月で困ったこと、困ったことにどう対応したか
    • 3 施設調査票に回答した施設の種類と所在地
    • 4 公的精神科救急システムの利用状況、認知度
    • 5 現状の精神科救急システムへの不満と要望
    • 6 最近1~2年で最も困った出来事と要望
  • V 考 察
    • 1 結果のまとめ直し
    • 2 付加的な考察
    • 3 提言:緊急対応を充実させるために今後必要なこと
  • VI 資 料
    • 1 本人調査票
    • 2 家族調査表
    • 3 施設調査票

要 約

  1. 地域で生活する精神障害者の緊急対応ニーズを明らかにするためにアンケート調査を行い、「当事者本人」から1745件、「家族」から1825件、「医療機関・福祉施設・行政機関など」から1080件の回答を得た。
  2. 精神障害者の8割が、最近の1ヶ月の間でも、精神症状や身体症状に関連した様々な「困ったこと」を経験していた。「困ったこと」は、「外来受診」「家族の説得や助言」「本人自身」「電話相談」の順で対応されていたが、対応出来なかった場合も1割あった。「外来受診を容易にする」「家族がより良い対応をできるようにする」「本人の解決力を強める」「電話相談出来る」ことが基本として重要であること、対応出来なくて緊急対応が必要になる場合が少なくないことが分かる。
  3. 「最近1~2年で最も困った出来事」では、公的救急システムの利用は、本人0.3%、家族3.2%、施設7.2%と極めて少なかった。ほとんどは、かかりつけ医、かかりつけ以外の通常医療機関、一般科医療機関など、公的救急システム以外で対応されていた。公的救急システムの利用度が低いのは、認知度が低いこともあるが、公的救急の使い勝手の悪さや、利用することへの不安や抵抗感も大きく関係していると思われた。
  4. 本人と家族の緊急対応ニーズは、普段の心理教育や啓発活動、予防対応、日中の相談、定期的訪問、夜間休日の電話相談、緊急時の訪問、移送サービス、レスパイトハウスなどを充実させ、出来るだけ、かかりつけ医や顔見知りの機関など「公的救急システム以外の緊急対応」で対応してもらうことである。他で対応してもらえない場合に「公的救急システム」の利用を希望するが、もっと使い勝手を良くしてもらいたいと考えている。
  5. 医療機関や福祉施設や公的機関は、「地域連携(病病連携、病診連携、医療と福祉の連携、福祉相互の連携)」「診療情報不足を補う仕組み」「(一般科病院で精神障害者が身体の受診ができるように)精神障害への偏見をなくすための活動や仕組み」などを充実させて、出来るだけ「公的救急システム以外の緊急対応」で対応出来るようにしたいと考えている。「公的救急システム」には、「自傷他害の恐れが強いケース」「24条と医療保護入院の谷間に落ちるケース」「身体合併症のケース」など、対応が難しいケースに必ず対応してもらいたいと考えている。
  6. 最もニーズの多かった「日中の相談」「夜間休日の電話相談」について検討した。両者とも未整備であり、とりわけ「顔の見える関係で相談出来る仕組み」が不足している。
  7. 診療情報不足を補うためのツールとして「(急な診療に役立つ)オレンジノート」を考案した。公的救急の窓口の広報も兼ねた「東京版」を試作した。

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